ワイド版 風の谷のナウシカ7巻セット「トルメキア戦役バージョン」
続いて欲しかった |
ナウシカが好きなら損しない。
この本を読めば映画のナウシカは原作のほんの一部だとわかる。
実際映画の部分は1,2巻で終わってる(当然物語は映画どおりには進まない)。
(私は)映画はクシャナ達が悪いみたいな感じを受けたけど、違った。
いろんな人物の考えていることがわかるし、
なにより物語が深い。
まぁとにかく巨神兵は映画みたいな化け物じゃないし(めちゃ強いけど)クシャナはいいやつって感じたし!
最終巻は物語が終わらないでほしいって思いながら読んでた。
そして登場人物のその後が・・・
宮崎駿流コミュニズムへの決別書 |
単行本七巻、期間にして一二年間と言う時間をかけた掛け値無しの大作である。
連載初期は「飛行機が一杯出てくる大敗した世界での戦記モノ」程度の気持ちで始めたのだろう。
本業をアニメーターと言いきる宮崎駿にとってマンガは趣味の延長線上でしかなかったはずだ。
ところが本書はそんな宮崎駿の当初の軽い気持ちとは裏腹に極めて重大なテーマを扱わざるを得なくなった。
1989年のソビエト崩壊によって共産主義の失敗が明白になった、コミュニストであった宮崎駿にとって衝撃が大きかったのは想像に難くない。
インテリであるが故に共産主義の矛盾にも内面では既に気付いていた宮崎に自己の内面の考えが決定的に正しかったと突きつけられたのである。
本書のクライマックスである第七巻は宮崎駿流のエンターテイメントに昇華させた共産主義への決別状である。
そしてもののけ姫で宮崎は無秩序な自然礼賛とも決別する、これまでの己と決別するきっかけになった本書は宮崎駿というクリエイターの叫びである
壮大な叙事詩 |
宮崎監督の幾つかの映画の要素を、また、SFの多くの要素を、深く凝縮したような物語だ。
テーマも世界観もストーリーも、映画ではエンターテインメントが優先されるということと2時間程度である、
という枠の中で制限されやや歪められてもいたものが、より思いのままに描かれているように感じた。
「天空の城ラピュタ」でも「もののけ姫」でも映画版の「風の谷のナウシカ」でも描かれたテーマが、
よりはっきりと見えてくる。
他の方が書かれているように紙質は良くないが、それさえも叙事詩のような雰囲気を引き立てているように感じられた。
ただし、テーマの必然から、全編を通じて重苦しい空気に包まれているので、苦手な人には厳しいと思う。
私は宮崎監督の作品の中ではこの物語が一番好きになった。
結構難しいですね |
この本の中味は映画やDVDとして映像化された誰もが知っている「風の谷のナウシカ」とはかなり違う内容で、共通の登場人物がいると言うだけの別物語です。7巻全部を一気に読み通すのはかなりの集中力を要します。映画版のナウシカでも小学生レベルの子供にはかなり難解なものでしたが、この本はもっと凄いですね。この物語の一つの主題としてあげられるものに、あるがままの自然を受け入れるのが正しい生き方だという考え方があります。そのために「旧世界の人間の組み立てた自然浄化プログラムをその手で破壊しなければならない」というハッキリとした考えをナウシカの口を通じて宮崎さんが語っているのでしょう。ただし、これを持って共産主義の崩壊というのはいささか極論だと思いますけどね。
いずれにしても1回読んだだけでは内容のすべてを理解するのは大人でも難しく、込み入った話となっています。本の中で語られている自然と人間の共生は宮崎さんの原点というか、これからもずっと登場してくるメインテーマなのでしょうね。紙質についてはかなり悪い方なので2ページ一緒にめくってしまうことが多々ありました。大きさはこれで良いと思います。
アニメ版よりマンガ版 |
マンガ版には「光は闇から生まれる」というナウシカの
台詞があり、これが物語の本質を決定づけているような気がします。
アニメも劇場版ではなく、26話で作って欲しいです。