宮崎駿の雑想ノート 「ロンドン上空1918年」
原作を忠実にドラマ化 |
宮崎駿の傑作連作短編集「宮崎駿の雑想ノート」から、表題の短編に材をとった約60分のラジオドラマを収録。本ラジオドラマシリーズ恒例の一人語りは谷啓が担当している。
原作同様、整備兵ハンスの視点で、ドイツ空軍の「ツェッペリン・シュターケンR4型」という巨大爆撃機によるロンドン夜間空襲を描く。この「ツェッペリン」爆撃機、いかにも宮崎駿が好みそうなギミックに充ちた航空機。
ストーリーは原作同様、夜間の出撃から、高射砲や戦闘機による迎撃を受け、閉塞気球を避け、爆撃実行から帰還までを描く。シリーズの他作品よりもアクションシーンが多く、機銃の音やエンジン音が始終鳴っている。
脚本は原作に忠実で、シリーズ他作品にはある+α要素や、追加要素は少ない。その分、原作にある貧弱な飛行機による夜間爆撃という壮挙?・愚挙?がストレートに感じられる。
全体には谷啓のしゃべりがいまひとつで、乗れない点、このラジオドラマシリーズの他作品に比べると見劣りする。
シナリオが好きだっただけに |
本編の内容が好きだっただけに、ドラマの出来に少々がっかりしている。ロンドン上空は、紅の豚のようなドタバタ要素があるが、ドラマではそれが伝わってこない。シナリオをトレースしているようで味わいがない。しかし、シリーズ全部を揃える場合にはやはり欠くことはできないだろう。